Vol.6

私は今年の2月に2週間の休暇をとった。会社に入って最長の休暇の目的は「育児」 だった。4歳の長女に弟ができるからである。二人目が生まれる際、これまで親の愛情を独占できていた上の子の精神状態が不安定になることは雑誌などで知っていた。 出産には1週間程度の入院が必要となるため、その間長女の精神的な支えになるのは 父である私しかいないと思っていた。

生まれてからずっと「忙しい」を理由に休日パパを決め込んで、実は育児に深い関心 を持ってこなかった自分の姿勢に対し、どこか薄っぺらさを感じていたのも事実だっ た。いざ休みに入ると、毎晩しくしく泣いたり変に強がることで全身で不安を表す長女の言い分をよく聞いたり、二人で遊んだりご飯をたべたり、けんかしたりする毎日が始まった(無事出産し、長男が誕生していた)。いままで読んだことのない育児書が愛読書になった。

朝起きて、ご飯を食べさせてから公園に遊びに行く。午後は病院に様子を見に行くの だが、16時には家に帰ってくるようにした。20時15分を布団に入る時間と決めた。逆算すると、遅くとも16時30分から夕飯の用意をしないと間に合わないこと がだんだんわかってきた。17時30分〜夕食・お風呂、19時になると就寝までの約1時間をお絵かきをしたり、ドールハウスで人形ごっこをして遊ぶなどゆっくりで きる時間に充てるようにした。布団に入り絵本を読むと、長女は決まって寂しさから毎晩しくしく泣き、私に慰められ、一日は終わっていった。

そこからが掃除・洗濯の始まりである。結局ほっと一息つけるのは、毎日深夜であった。でも夢中だった。子供との生活は、とっくの昔に置いてきてしまった子供の世界を旅しているような不思議な気持ちにさせてくれた。長女もすっかり私を頼るように なり、とても仲良しになった。


忙しさは、会社にいるときとそれほど変わらないと感じた。しかし、すっかり家庭側 の人間となった今、「温暖化防止のために家庭でも・・しましょう」と家庭に向けて メッセージを送っていた自分の仕事を冷静に見つめるようになった。「エコ?」そん な時間や気持ちの余裕なんてなかったからである。

私の会社員としての仕事は「温暖化防止に向けた啓発活動を行うこと」であり、その内容は、まさにエコ2の活動そのものともいえる。「これまでやってきたことって本 当に家庭に届いていたのだろうか」「情報の送り側の満足でしかなかったのではない か」そんなことを、時折自分に問いかけるようになった。主婦(夫)というのは思っ ていたよりもずっと忙しい。洗い物をする、お湯を沸かす、テレビをつけるなどの行 為において、体になじまない省エネ情報や、時間・手間のかかるエコは全く意味を持 たないし、仕事柄知っていはいるけれど実行できない自分に罪悪さえ覚えてしまう始 末であった。エコにまず必要なのはスローではなく、スピード感だと思ったのもこの 体験がきっかけだった。

あるとき、私が茶碗を洗っていると長女が「お手伝いする!」といって聞かなかったので、一緒に洗い物をすることにした。案の定、相当な水の無駄遣いになった。しか し大人のすることを手伝えた満足げな表情をみていると「無駄でもないかな・・」なんて思ったりもした。私はその代わり「もったいない」という言葉を繰り返し教えた。 「これも大事な環境学習だ、やがて花開くんだ」と思うようにした。もうひとつ、ス ーパーのレジで言う決めゼリフ「地球のことを考えて袋はいりません!」も繰り返し教えた。何度かは成功して、レジのお姉さんを驚かし、私はほくそえんだ。しかし最 近のセリフといえば「地球のことを考えたのですが、小さな袋をください!」に変わりつつある。しかし時々「シールで!」というときもあるので、少し効果が持続して いると思い安心したりもする。

                           幹事 鬼沢雅夫

メニュー